【時間は存在しない】
最近、インターネット上で、「時間は存在しない」という内容の記載を目にすることが多くなりました。
有名な物理学者の書籍がきっかけになっているのかも知れません。
とてもキャッチ―なフレーズなので、興味を惹きます。
古典的な物理学においては、「時間」は「絶対的」な量と考えられていました。
あなたにとっての1時間は、他の人の1時間と全く同じ量です。
しかし、現代において、「時間」は「相対的」にしか計れないものであることがわかっています。
つまり、「あなた」にとっての1時間は、他の人にとっては1時間ではないのです。
その意味では(絶対的)時間は存在しないことになるでしょう。
また、「時間」は「空間」と同じ座標系であるため、あなたの感覚する「時間の流れ」というものは本来ありません。
その意味では(動的)時間は存在しないことになるでしょう。
何か変ですね。
それでも「時間は存在」するように思えませんか?
【時間は存在する】
「時間」は存在します。
これは、表現方法の問題です。
今、「あなた」が感じている「時間」の流れは、「あなたの住む宇宙」が誕生した138億年前からスタートしました。
この「138億年」という言葉自体が「時間の存在」を既に表しています。
「あなたの住む宇宙」は「3次元空間+時間」の4次元時空を持っている。
空間と時間は互いに変換できる関係にあり、同じカテゴリーで語ることができます。
その意味からも、時間は存在します。
一方、時間そのものは未来へ向かって勝手に進んだりはしません。
よって「一方向に進行する時間」は存在しませんが、「あなた」の中には「時間が未来へ向かって止めどなく進行する感覚」が存在しています。
実は、その感覚は、そのように感じる「あなた」側の問題なのです。(後に詳述します)
その意味で、「あなた」の中において時間は存在します。
もちろん、「あなた」だけではなく誰でもそうです。
他の生き物もそうでしょう。
【静的時空としての宇宙】
「0」から紡ぎ出される数量的に「∞」個数の決定論的宇宙が実在する。
そして、それぞれの決定論的宇宙における時間軸は、空間軸と同じように、存在した瞬間から、その先の全てのストーリーが決定している静的次元です。
各宇宙の中には時間の次元を持たないものや、時間軸が「∞」となるものもあるでしょう。
(但し、「∞」は「限りなく増えていく」ような動的状態をイメージしがちですが、そうではなく、「限りのない」という静的状態を意味しています)
もしも、このストーリー全体を見ることができたなら、3次元を1枚の絵としたパラパラ漫画のように見えることでしょう。
「あなた」を含む生命の営みも、その漫画に描かれる物理的現象の一部です。